円安の今、住宅購入はどうすべきか?

2022年10月30日

円相場は一時、1ドル=150円台まで値下がりをみせ、先行き不透明な状況。

 

円安のみならず、終わりの見えないコロナ禍やウクライナ情勢など、不動産購入をどうすべきか悩むところですよね。

 

結婚や出産、子育て、老後など、ライフステージが変化するタイミングでマイホームの購入を考える方も多いと思いますが、現在の社会情勢を見ると、本当に今購入するべきなのかわかりません。

 

今回は世の中の動きも踏まえ、マイホーム購入について考えます。

新築住宅

円安などにより建築費が高騰

説明するまでもありませんが、円安やロシアのウクライナ侵攻などによって、食料品をはじめ電気代やガス代などさまざまな物価が上昇傾向にあります。

 

住宅においても輸入する木材や原油などの原材料が値上がっており、「ウッドショック」や「アイアンショック」などという言葉もよく耳にするようになりました。

 

中国などの新興国が豊かになっていき、建築需要が高まっているうえ、木材や原油など資源価格の上昇、さらに円安が重なるため、今後も建築費が上がることは避けられないでしょう。

 

日本では2013年ごろからマンション価格の上昇が続いています。戸建住宅においても2020年あたりから上昇傾向。そこに円安などが加わり、残念ながら今後ますます住宅価格が上昇する可能性があります。

土地の価格は落ち着く可能性も

戸建住宅の場合、購入価格は大きくわけて土地の価格と建物の価格です。

 

建築工事費は円安の影響などで今後も上昇する可能性が高そうですが、土地の価格は落ち着く可能性が高いといわれています。

 

とはいえトータルの住宅購入費は残念ながら上昇するでしょう。

低金利や税制優遇は?

アメリカでは長期金利が上昇。インフレ防止のためにゼロ金利政策を解除しました。

 

一方日本銀行の黒田総裁は「大規模な金融緩和策を継続する必要がある」と発言。海外の動向が影響してくる可能性もありますが、日本ではすぐに金利が上昇するような事態は起こらないと思われます。

 

とはいえ諸外国の金利が上がる中、日本だけがこのまま今の水準を維持し続けられるとは考えにくいため、政策が変更となる可能性も。35年固定の住宅ローンが1%台前半という状況は、今後それほど長く続かないかもしれません。それならば、この低金利のうちに購入を考えたほうがいいかもしれません。

 

そして長年続いてきた税制優遇策「住宅ローン減税」は、2022年から控除率が1%から0.7%に。一方で新築は控除期間が13年に延長されました。

 

ただし2024年度以降、借り入れ金額の限度額引き下げや、控除期間の短縮、対象が省エネ基準適合住宅のみになるなど制度自体の縮小が予定されています。

円安

今は買い時ではないのか?

では今は住宅を購入すべきではないのでしょうか。それは正直誰にもわかりません。

 

不動産価格が上昇する可能性が高いこと、税制優遇などの縮小が予定されていること、金利上昇の可能性も否定できないことなどをふまえ、早めに検討をスタートするのが得策という意見もあります。

 

マイホーム購入のために頭金を貯めているなら、家賃負担や住宅ローン返済、維持費の負担などトータルの住居費負担は、できるだけ早く住宅を購入し家賃負担から卒業したほうが軽くなりますし、先述のとおり金利上昇の可能性もあるため、頭金を貯めている時間がもったいないという意見も。

 

もし住宅購入の意思があるのなら、むやみに先延ばしにしないほうがいいでしょう。

「頭金ゼロ」と「貯金ゼロ」は違う

「どうせ買うのだから…」と購入を決めた方。住宅購入資金はすべて住宅ローンを組めばいいと考えてはいませんか。

 

「頭金0でも家は買える!」という謳い文句をよく耳にします。これは事実です。

 

しかし、貯金0では家は買えません。どんなに頑張っても住宅ローンに組み込めない費用もあります。

 

物件の購入やローンを組むためには「諸経費」が必要。登記関連費用や融資手数料や保証料といった住宅ローンを借りるために必要な費用、不動産の仲介手数料、契約締結時の印紙代、火災保険代、引越し費用、家具や家電のお金など、やはり貯金はある程度必要であることを覚えておきましょう。

 

また物価は上昇していますが、日本人の給料はなかなか上がっていません。今後の自分たちの家計ともしっかりと向き合いましょう。

まとめ

円安などにより建築費は高騰していますが、住宅ローン金利は低水準が続いています。

 

今が住宅を購入すべきタイミングかどうかは、購入者が見極めることですが、円安が落ち着くのを待つ間に、住宅ローン金利が上昇することも考えられ、さらに税制優遇が縮小される可能性も。

 

「家が欲しい」と思ったときが、その人のベストタイミングです。市場価格を意識しすぎず、自分たちのタイミングを重視してください。