相続した不要な不動産(住宅)どうすべき?
2023年04月30日
前回の当ブログでは、不要な”土地”を相続した場合、一定の要件を満たしていれば国に引き渡すことができる新制度「相続土地国庫帰属制度」について紹介しました。
「相続土地国庫帰属制度」の対象は、不要な”土地”です。つまり建物があると引き渡すことができません。
親や親族が亡くなった際、家やマンションなどを相続することがありますが、すでに独立し、自分で住宅を購入している人もいるでしょう。不動産には固定資産税や維持費などの費用がかかるため、「いらない」という人も少なくありません。
不要な住宅を相続した場合は「売る」か「貸す」かのどちらかが一般的。今回は、相続した住宅などの不動産が不要な場合の対処法や注意点などを紹介します。
相続した不動産(住宅)が不要な場合の対処法
不動産を相続すれば、固定資産税などかかります。手放すか活用するか、早めに検討しましょう。
手放す方法は次の3つ。
・売却
・譲渡、寄付
・相続放棄
手放さずに活用するなら、たとえば次のような方法があります。
・賃貸物件として貸し出す
・建て替える
・更地にして駐車場や太陽光発電などにする
不動産(住宅)を手放す方法
不動産は維持費がかかります。空き家を放置するのであれば、早めに手放すことを検討したほうが得策かもしれません。
売却
手放す際に真っ先に考えるのは、住宅などの不動産を売却する方法でしょう。
不動産会社に仲介を依頼し売却するのが一般的です。
マンションは戸建て住宅に比べ、鉄骨構造であるため耐用年数が長く、比較的売却しやすいといえますが、築年数や立地などによっては希望価格で買い手がつかないことも考えられます。
戸建て住宅は都心部や比較的築浅の物件など需要の高い物件であれば、比較的売却しやすいかもしれませんが、「田舎である」「建物の老朽化が進んでいる」などの理由で、なかなか買い手が見つからないことも。
価値がない古家付き土地は、解体し更地として売ることもおすすめですが、更地にするには解体費が必要です。売却価格以上に解体費がかかってしまうケースもあります。また固定資産税は、更地にすることで3倍~6倍ほど増加。更地にしたのに売れないということにならないよう注意が必要です。
相続した不動産の価値や需要などをしっかり見極めましょう。
譲渡・寄付
買い手が見つからない場合、知り合いや隣地の所有者に「無償で譲渡しよう」と考えている人もいるかもしれません。
しかしその場合、不動産の価値に応じて贈与税を納めなければなりませんし、不動産取得税が発生する場合もあります。そのほか登録免許税や固定資産税、都市計画税など、さまざまな税金が課せられる可能性があるため、無償譲渡による税金について事前にしっかり把握しておきましょう。無償ではあるけれど、税金が課税されることを忘れてはいけません。
また自治体等に「寄付をしよう」とお考えの方もいるかもしれませんが、基本的に自治体はほとんど寄付を受け付けてくれません。
ただし前回紹介した「相続土地国庫帰属制度」であれば、更地にすることで条件が満たされる可能性があります。更地にする費用や引き渡しの際の負担金や手数料なども必要なため、注意が必要です。
相続放棄
不動産を相続したくない場合は、そもそも相続をしない、つまり「相続放棄」という手段をとることもできます。
ただし相続放棄は『すべての財産が対象』となるため、いらない財産だけ相続放棄することは不可能です。たとえば不動産は相続しないけれど預貯金は相続する…ということはできません。
相続放棄は相続開始から3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てる必要があるため、早めに手続きを行いましょう。
ただし相続放棄をしたとしても、次の所有者が決まるまでは、元の相続人が財産の管理を行う必要があります。つまり相続放棄しても次の所有者が見つからない限り、遺産を管理しなければならず、固定資産税や維持費がかかります。
不動産(住宅)を活用する方法
相続した住宅に自分が住まなくとも、活用するという方法もあります。たとえば以下のような方法です。
賃貸物件として貸し出す
売却以外で一般的なのは、賃貸として貸し出すことでしょう。
重要なのは対象の不動産の築年数や立地などに需要があるかどうか。
あまりに古い物件だと借り手はなかなか見つかりません。戸建てなら築35年、マンションなら築30年を超えてくると、リフォームが必要でしょう。
建て替える
戸建て住宅であれば、家を建て替えるという選択もあります。建て替えた家に自分たちが住むこともできますし、賃貸に出すこともできるでしょう。
またアパートやコインランドリー、トランクルームなどに建て替えるのもひとつの案です。
更地にして駐車場や太陽光発電などにする
先述のとおり、更地にすると固定資産税や都市計画税が上がります。建物が建っているだけで住宅用地の特例が適用されるのです。
にもかかわらず、皆さんの周辺でも「空き家がなくなり、駐車場ができた」という土地はありませんか。
駐車場は初期費用がかからず、低リスク。その後土地の転用がしやすいことから、駐車場経営が人気なのです。需要の高い場所であれば、駐車場にして活用することもいいでしょう。
また田舎の空き地に一時期爆発的に増えたのが太陽光発電。しかしソーラーパネルの設置費用がかかり、近年は利回りが低下していること、またトラブルなども報告され自治体によっては規制が進められていることから、以前に比べると導入がしにくくなっています。
まとめ
不動産には固定資産税や維持費などの費用がかかるため、相続した住宅が「いらない」という人も少なくありません。
しかし空き家を放置すれば、近隣住民とのトラブルや放火などの犯罪リスクも高まります。
不要な住宅を相続した場合は「売る」か「貸す」かのどちらかが一般的。どのように対処するかは、できるだけ早く話し合っておくべきです。とはいえ相続は非常にナイーブな問題。家族みんなが集まるゴールデンウイークに、話し合ってみてはいかがですか。