日銀が事実上の利上げ。住宅購入の影響は?

2022年12月30日

日銀は、2022年12月20日の金融政策決定会合で、金融政策を修正。長期金利の変動幅を、これまでのプラスマイナス0.25%から0.5%へ広げました。

 

つまり0.5%程度までの長期金利の上昇を認めたことになり、事実上の「利上げ」と言われています。

 

金利上昇で気になるのが、やはり「住宅ローン」。住宅の購入や売却にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

住宅ローン

すぐに響くのは「固定金利のローン」

今回の日銀の決定で、まず影響を受けるのは「固定金利のローン」。

 

当たり前ですが、固定型のローン金利は一度借りてしまえば返済期間の最初から最後まで金利は変わらないため、すでに固定金利で住宅ローンを借り入れている人は何も変わりません。

 

しかし長期金利が上がれば固定型のローン金利の上昇につながるため、新たに借り入れをする場合の金利は高くなる可能性があります。

 

住宅ローンの金利は銀行が毎月決定し、金利水準はその月の1ヶ月間適用。すでに大手銀行は、固定型10年などの1月適用分の金利を「引き上げざるを得ない」と説明しています。あるエコノミストによると「前月比で0.2〜0.25%ほどの金利が上昇することも考えられる」とのこと。

 

固定金利の代表ともいえる「フラット35」の、各金融機関が最も多く採用している2022年12月現在の金利は年1.65%(借入期間35年の場合)です。

 

仮に3,000万円を元利均等返済(借入期間35年、ボーナス払いなし)で借り入れた場合、借入金利が現在の年1.65%なら月々の返済額は約9.4万円。これが0.25%上昇して年1.9%になれば、返済額は約9.8万円に。

 

毎月の返済額は4,000円程度の上昇ですが、全期間で考えると約158万円も返済額が増えます。

 

住宅は大きな買い物だからこそ、トータルの返済額に大きく影響する金利上昇。もちろん今後ますます上がっていく可能性もあります。

 

不動産購入を考えている人は、タイミングをしっかり見極めることが大切でしょう。

固定金利と変動金利

「変動金利」は現時点で直接的な影響はない

日本の住宅ローンで人気なのが「変動金利」。一定期間ごとに適用金利が見直されますが、他の金利タイプに比べて当初の金利が低い点が魅力です。

 

変動金利は「短期プライムレート」を基準に決められているため、今のところ直接的な影響はないとみられています。

 

しかし今後日銀が短期金利を引き上げれば、短期プライムレートの金利は上昇。連動して住宅ローンの変動金利も上がります。

 

つまり将来金利が上がり、月々の返済額が大きく膨らむ恐れも。家計を圧迫することも考えられます。

 

しかし未来の金利を断定することはできません。

 

金利引き上げが起こった時にどのような返済額になるのかを、金利が上がる前提であらかじめシミュレーションし、対策を取れるようにしておくことが大切です。

金利が上がる場合の対策は?

住宅ローン金利は、これから住宅ローンを組む方や、すでに変動金利で住宅ローン組んでいる方のどちらにとっても、低金利時代はいつまで続くのかは、重要な関心事ですよね。

 

今回の事実上の利上げによって、住宅ローン金利が上がる可能性もあります。

 

もし金利が上がってしまった場合に、どんな対策を取ればいいのでしょうか。

繰り上げ返済

繰り上げ返済とは、元金の一部または全部を前倒しで返済すること。これにより将来支払うはずだった金利が節約できます。

 

住宅を購入する際、手元の資金を頭金としてめいっぱい使ってしまう人も多いです。しかし手元に資金を残しておくことで、繰り上げ返済など金利上昇などに備えることができます。

 

ただし繰り上げ返済にはデメリットも。適切なタイミングで実行することが重要です。

借り換え

現在借りている住宅ローンよりも金利が低いものへ借り換えることで、総返済額を下げられる可能性があります。

 

しかし住宅ローンの借り換えには、事務取扱手数料や登記関連費用などの諸費用が必要。単純に金利だけで考えず、しっかりと計算をして借り換えを検討しましょう。

まとめ

今後大きな経済的打撃を被りかねない、金融政策の修正。

 

特に住宅購入を検討している人や、現在変動型の住宅ローンを組んでいる人は、今後金利が上がることを念頭に入れて計画的に対策をしておくことが重要です。繰り上げ返済や借り換えに備えて、貯蓄や投資をしておくことも必要でしょう。

 

住宅購入に限らず、あらゆる面で日銀の金融政策の動向を注視していかなければなりませんね。