「年収の壁・支援強化パッケージ」について

2023年10月15日

パートやアルバイトで働く主婦(夫)の中には、扶養範囲内で働きたいと考える人も多いでしょう。

 

収入が一定以上になると扶養から外れてしまうボーダーラインを「年収の壁」と呼びますが、この壁には106万円、130万円などといったさまざまな段階があります。

 

そんな年収の壁を意識せず働ける環境づくりを後押しする企業助成「年収の壁・支援強化パッケージ」が始まりました。

 

今回は年収の壁について、および「年収の壁・支援強化パッケージ」について紹介します。

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まずは「年収の壁」を理解しよう!

年収の壁とは、扶養範囲内で働く場合の収入のボーダーライン。

 

一定の金額を超えると、税金や社会保険料がかかり始めたり、給与から天引きされる金額が増えたりします。税金や社会保険料がかからず手取りが減らないように、終業時間を調整している人も多いのではないでしょうか。

 

年収の壁は「社会保険の扶養」と「税制の扶養」の2種類があります。

 

(ここからは便宜上、扶養する人を「夫」、扶養に入る人を「妻」として解説します。)

社会保険の扶養

社会保険の扶養とは、夫の会社の社会保険の扶養に入ること。妻は健康保険料や年金保険料を支払わなくても、健康保険に加入できたり年金を納めたりしたことにできます。

 

一定の収入を得て社会保険に加入することになると、健康保険料・年金保険料が給与から天引きされ、手取り額が減ってしまいます。妻にとっては夫の扶養に入った方がお得なため、年収の壁を超えないように働き方を調整しているというわけです。

税制上の扶養

税制上の扶養とは、配偶者控除や配偶者特別控除を受けることができること。夫の所得税と住民税が控除されるので、夫の所得税や住民税が節税できます。

年収の壁一覧

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106万円と130万円の違いは、妻が勤務する会社の規模などです。

 

106万円の壁が適用される条件は、以下の5つ。

 

・勤務先の従業員が101人以上
・労働時間が週20時間以上
・月収が8万8000円以上
・2ヶ月を超える勤務の見込み
・学生ではない

 

年収が130万円以上だと一般的に家族の扶養から外れ、自分で社会保険に入らなければなりません。

「年収の壁・支援強化パッケージ」について

政府は、年収の壁を意識せず働くことができる環境づくりを支援するため、「年収の壁・支援強化パッケージ」に取り組むことを発表。

 

今回は「106万円の壁への対応」「130万円の壁への対応」「配偶者手当への対応」が打ち出されましたが、あくまでも暫定的な措置です。なおパッケージの期間が過ぎた後の取り組みについては明らかにされていません。

106万円の壁への対応

パート・アルバイトで働く方の厚生年金や健康保険の加入に合わせ、手取り収入を減らさない取り組みを実施する企業に対し、労働者1人当たり最長3年間で最大50万円を支援。

 

なお手取り収入を減らさない取り組みとは、社会保険適用促進手当を支給、賃上げによる基本給の増額、所定労働時間の延長です。

130万円の壁への対応

パート・アルバイトで働く方が繁忙期に労働時間を延ばすなどにより、収入が一時的に上がったとしても、事業主がその旨を証明することで、引き続き被扶養者のままでいることができます。

 

ただしあくまでもこの対応は一時的なもの。連続2回(2年)までが上限です。

配偶者手当への対応

配偶者手当とは、配偶者がいる従業員に対して企業が支給する手当のこと。現在、この配偶者手当の仕組みを見直す取り組みが進められていますが、具体的な見直しの例は未定です。

まとめ

今回は年収の壁について、そして「年収の壁・支援強化パッケージ」について解説しました。

 

まだ明らかになっていない部分も多く、「年収の壁・支援強化パッケージ」は当面の対策ですが、これらの施策によってパートやアルバイトで働く人たちが年収の壁を気にせずに働ける環境が整い、企業にとっても人材の確保や生産性が向上することが期待されます。今後の展開に注目していきましょう。