仕事中・通勤中の熱中症は労災になる?

2023年07月30日

連日の猛暑で、熱中症のリスクも高まっています。

 

特に肉体労働の方や外回りをされる方などは、この危険な暑さによる熱中症で命を失うということも考えられます。

 

企業は従業員を守らなければなりません。従業員が熱中症にかかることを防ぐことは、企業の社会的責任です。

 

オフィス内であっても、長時間のデスクワークや集中作業は体温上昇を招くため、熱中症になる可能性はありますし、通勤途中に熱中症になることも十分に考えられるでしょう。

 

さて今回のブログのテーマは、「仕事中や通勤中に熱中症になった場合、労災はおりるのか?」です。

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熱中症で労災認定を受けられる?

一般的な疾病同様、業務中や通勤中の熱中症も「労働災害・通勤災害」の対象となる可能性があります。

 

労働基準法施行規則別表第1の2第2号には、「暑熱な場所における業務による熱中症」は業務上の疾病と規定され、「一般的認容要件」と「医学的診断要件」を満たす必要があるとしています。

一般的認定要件

・業務上の突発的またはその発生状態を時間的、場所的に明確にし得る原因が存在すること
・当該原因の性質、強度、これが身体に作用した部位、災害発生後発病までの 時間的間隔等から災害と疾病との間に因果関係が認められること
・業務に起因しないほかの原因により発病(または増悪)したものでないこと

医学的診断要件

・作業条件および温湿度条件等の把握
・一般症状の視診(けいれん、意識障害等)および体温の測定
・作業中に発生した頭蓋内出血、脳貧血、てんかん等による意識障害等との鑑別診断

 

以上の「一般的認定要件」と「医学的診断要件」の、二つの要件に該当すると判断された場合、労災保険から補償を受けることができます。

労災認定されないケース

仕事とは無関係に、寝不足や帰宅後の自宅内が暑いなど、従業員の個別的な要因により熱中症になった場合は労災認定されません。

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通勤中に熱中症で倒れたら?

以下のような要件を満たしながら通勤中に熱中症になった場合も、通勤災害として労災の対象となる可能性があります。


・住居と就業場所との往復
・就業の場所から他の就業の場所への移動

 

ただし通勤の途中で寄り道などの通勤と関係ない行為を行うと、通勤に該当しないと判断されることになるので注意が必要です。

帰宅後に熱中症になったら?

自宅に帰った後に熱中症になることもあるでしょう。

 

その場合はいつどこで熱中症になったかにより、労災認定されるかが変わってきます。

 

業務中や通勤中から体調不良を感じていた場合は労災の対象となる場合がありますが、帰宅後の自宅内が暑くて熱中症になったような場合は労災として認められません。

 

また帰宅途中に寄り道をして熱中症になったような場合も労災には該当しませんが、会社命令による飲み会の後に熱中症を発症したような場合は、業務との関連性があるとして労災として扱われる可能性もあります。

まとめ

死に至る危険もある、熱中症。業務中や通勤中の熱中症も、一般的な疾病同様「労働災害・通勤災害」の対象となる可能性があります。

 

企業は熱中症を予防して安全に働ける環境を作る義務があります。水分・塩分摂取の呼びかけや、必要に応じて作業時間の短縮を検討するなども必要です。熱中症を防ぐ環境作りを進めましょう。

 

業務に関係のない原因で発症した熱中症は、労災認定は受けられなません。従業員も各自でしっかりと熱中症にならない対策をすることが大切です。