確定申告が必要な人・不要な人・得する人

2023年02月15日

令和4年分の所得税等の確定申告の受付は、令和5年2月16日(木)から3月15日(水)まで。

 

副業OKな企業も増え、確定申告をしなければならないという人や、しなければいけない”かもしれない”という人も多いかもしれません。「正直、自分が確定申告が必要なのか不要なのかもよくわかっていない」そんな人もいるのでは?

 

今回は確定申告をしなければならない人、しなくてもいい人、したほうがお得な人について解説します。

確定申告

確定申告とは

そもそも確定申告とは、1月1日から12月31日まで1年間の収入額から必要経費を差し引いた「所得(もうけ)」を申告して納税する手続き。

 

会社員やアルバイト・パートなどの給与所得者は、勤務先で年末調整を行ってくれるため、通常は個人で確定申告をする必要はありませんが、会社員などでも一部確定申告が必要な人もいますので、のちほど解説します。

 

確定申告が必要な人が申告をしなかった場合は、無申告加算税や延滞税などのペナルティが発生することも。必要な人は必ず期限内に申告しましょう。

確定申告が必要な人

確定申告が必要な人はどんな人なのか、解説します。

自営業やフリーランス、個人事業主の人

自営業やフリーランス、個人事業主の人は、原則、確定申告が必要です。

 

ただし所得が48万円以下であったり赤字であったりする場合には確定申告は不要ですが、すでに源泉徴収をされていれば、払いすぎた税金の還付を受けられる可能性があるので、確定申告をするのがおすすめ。また青色申告事業者であれば、確定申告を行うことで赤字を3年間繰り越したり、損失額を前年に繰り戻して還付金を受け取ったりすることができます。

 

自営業やフリーランスの多くは確定申告が必要であり、不要であってもしたほうがお得なケースも多いです。詳しくはのちほど紹介します。

 

会社員でも年収が2,000万円以上の人

給与所得者は原則個人で確定申告をする必要はありません。

 

しかし年収が2,000万円を超える場合には確定申告が必要です。なお年収2,000万円という額は、税金などを引かれる前の額面。手取りの金額ではので注意してください。

会社員でも副業で1年間に20万円以上の所得がある人

先述のとおり、給与所得者は原則個人で確定申告をする必要はありませんが、副業で20万円以上の所得があった場合には確定申告が必要です。

 

フリマアプリやハンドメイド作品の販売、アフィリエイトなどから得た所得も対象になるため、確認しましょう。

会社員でも2ヶ所以上から給与を受けている人

2ヶ所以上から「給与所得」を得ている場合には確定申告が必要です。

 

例えば会社員が副業でアルバイトを行っている場合、年末調整を行うのは本業の会社、アルバイト先では年末調整は行いません。複数の会社から給与を受け取る場合は、すべての給与を合算した額にかかる所得税を算出し、正しく納税する必要があります。

公的年金の受け取り額が400万円を超える人

公的年金とは、国民年金と厚生年金のこと。一般的には65歳から受け取れます。公的年金の受け取りが1年で400万円を超える場合は、確定申告が必要です。

 

公的年金の受け取りが400万円以下であれば確定申告は不要ですが、ほかの所得が20万円以上ある場合は確定申告が必要。ほかの所得とは、たとえば給与所得や個人年金、配当所得や不動産所得などがあります。

株の取引で1年間に20万円以上利益が出た人

株取引やFXの譲渡などで1年間に20万円以上の利益が出た場合、確定申告が必要。

 

ただし自動的に源泉徴収される源泉徴収口座で取引を行っているのであれば、確定申告は不要です。

 

また、NISA口座で取引を行っている場合は、利益が120万円までなら確定申告の必要はありません。

不動産所得や譲渡所得がある人

土地や建物などの売却や、家賃収入がある場合は確定申告が必要です。

 

不動産を売却して利益が出た場合は、確定申告して利益額に応じた税金を納めます。一方で売却して損失が出た場合は、確定申告の義務はありません。しかし確定申告することで税金の還付を受けることが可能です。のちほど解説します。

当選金や返戻金など一時所得がある人

たとえば競馬や競輪での返戻金や生命保険の解約返戻金、福引で当たった賞金や賞品、キャンペーンなどでもらった懸賞金などが、年間50万円を超えると確定申告が必要になります。

 

なお宝くじやサッカーくじの払戻金は、申告の必要はありません。

確定申告2

確定申告が不要な人

ここまで確定申告が必要な人を紹介しました。紹介した内容に当てはまらない人は確定申告が不要です。

 

簡単にまとめましたので参考にしてください。

 

・事業所得が48万円以下の自営業やフリーランスの人
・会社員で副業収入が20万円に満たない人
・1つの企業で働く会社員で年収が2,000万円以下の人
・公的年金が400万円以下で、ほかの所得が20万円以内の人

確定申告をしたほうがお得な人

確定申告をしなくてもいいけれど、したほうがメリットを得られる人がいます。ここからは確定申告をしたほうがお得になるケースをいくつか紹介しましょう。

その年が赤字だった自営業者やフリーランス

先述のとおり、所得が48万円以下であったり赤字であったりする自営業者やフリーランスは、確定申告は不要です。

 

しかし赤字だった場合にはあえて確定申告を行うことで、赤字を最長3年間繰り越すことが可能に。赤字を繰り越しておけば、今後黒字化できたときにこれまでの赤字と相殺し、課税所得を減らすことができます。また赤字になった場合に確定申告を行うと、税金の還付を受けられたり住民税が軽減できたりと、ほかのメリットも。

 

多少の手間はかかりますが、確定申告をしておくメリットは大きいでしょう。

株で損失が出た人

株や投資信託、FXなどで損失を出した人は、原則、確定申告は不要です。

 

しかし損失を申告することで、1年間の通算損失を、翌年から3年間繰り越すことができます。

 

ただし3年間損失を繰り越すためには、仮に取引が行われていない年でも3年の間は毎年、確定申告を行うことが必要です。

医療費が10万円を超えた人

年間の家族の医療費が10万円を超える場合、確定申告を行うことで医療費控除を受けることができます。なお対象は、個人ではなく家族単位です。

その年に住宅ローンを組んだ人

返済期間10年以上の住宅ローンを組んで住宅を購入したり増改築を行ったりした場合は、居住を開始した年から原則10年間「住宅借入金等特別控除」を受けられます。

 

2年目以降は年末調整で控除を受けることができますが、初年度は確定申告をしなければなりません。

 

節税効果の高い控除制度なので、住宅ローンを組んだ人はぜひ利用しましょう。

まとめ

令和4年度の確定申告は2月16日から申告開始です。

 

副業を認める企業が増えたほか、フリマアプリなどで誰でも気軽に物を販売できるようになった今、確定申告をしなければならないという人も多いことでしょう。

 

確定申告が必要な人が確定申告を行わないと、ペナルティが課せられます。必要な人は必ず期限までに申告し納税しましょう。

 

なかには確定申告をしなくてもいいけれど、した方がお得な人もいます。自分は確定申告が「必要」なのか「不要」なのか「したほうがお得」なのか、しっかり見極めて申告漏れのないようにしてください。