相続について、家族で話してみませんか

2022年08月15日

夏休み、久しぶりに帰省をしたり親戚に会ったりした方も多いのではないでしょうか。

 

親元から独立した子世代の抱える問題が、親の住む家や土地の相続。「うちは大した財産がないから、相続でもめることはない」と思っている方もいるかもしれませんが、遺産相続でもめる家族の3分の1は、遺産総額1,000万円以下なのだとか。

 

例えば兄弟が複数人いる場合、家は長男、車は長女というに現物分割が争いなくできればいいのですが、相続人間で取得格差が大きい場合もめる原因となります。一部の資産を売却してその代金で調整したり、沢山相続した人が自己資金で調整したりするケースも。

 

代々受け継がれてきた複数の不動産を所有している方は羨ましがられることも多いですが、多額の固定資産税の支払いや所有するマンションなどの老朽化や空室率の高さに悩みを抱えているなど苦労が多いのも実情です。

 

子が親の「お金」と「死」について話すのはタブー視されがちですが、家族が元気なうちに実家の将来について話し合ってみてはいかがでしょうか。

家族

相続した家はどうする?

親の住む家を相続した場合、選択肢は5つ。

 

・自分たちで使う(維持する)

・売却する

・貸す

・譲る

・解体する

 

仮に要らない家を相続したとしても、その家を捨てることはできません。ただし相続放棄をすることは可能ですが、その場合、預貯金や価値のある不動産、保険金や退職金など一切の相続権を放棄しなければなりません。

 

相続した家に誰も住まず何のメンテナンスもせず放置すれば、劣化が進み「特定空き家」に指定されるリスクもあります。特定空き家とは、管理が不十分で危険な状態の空き家のことで、自治体から「特定空き家」と指定されると、固定資産税がなんと6倍に。

 

家は所有しているだけで固定資産税や都市計画税などのコストがかかります。どのように活用するかできるだけ早く決めることが重要です。

 

相続問題は子や孫にまで引き継がれていきますので、将来を見据えて検討する必要があります。

相続税について

「相続」と聞くと、パッと頭に思い浮かぶのは「相続税」ではないでしょうか。

 

相続税は、亡くなられた親などからお金や土地などの財産を受け継いだ場合に、その受け取った財産にかかる税金です。

 

具体的には、基礎控除額を上回るときに相続税がかかります。

 

ちなみに現在の基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人数)です。法定相続人が1人の場合は3,600万円、つまり親から3,600万円以下を相続した場合は相続税が課せらません。

 

家を売却する場合

家は手放さない限り、固定資産税や都市計画税がかかります。誰も住んでいなくても、家や土地には税金がかかるのです。一方で手放したとしても、所得税や住民税がかかります。

 

そして重要なのが、売却すると決めても、必ずしもスムーズに売却できるとは限らないということです。

 

一戸建てなら家を解体して土地を売却することも可能ですが、解体費用も必要。しかし更地にすると固定資産税が6倍になってしまいますので、解体のタイミングも考えなければなりません。

 

相続した家を売却をするのであれば、あらかじめその不動産価値を知り、売却に関する税制や税額などを調べたうえで、早めに売却の手続きをしましょう。特例や控除など難しい条件もあるため、信頼のおける不動産会社に相談してください。

uribukken

不動産売却時にかかる「譲渡所得税」

不動産売却によって利益が発生すると「譲渡所得税」が発生します。

 

「譲渡所得税」は、復興特別所得税を含む「所得税」と「住民税」を合わせた税金です。

 

計算式は【譲渡所得 = 家の成約価格- 取得費 - 仲介手数料などの譲渡費用】。

 

譲渡所得がプラスになれば譲渡所得税が発生、0円かマイナスになれば非課税です。不動産売却で譲渡所得が発生した場合には、確定申告が必要になります。

 

不動産会社に依頼をし不動産を売却した場合は、仲介手数料と消費税がかかることも忘れずに。

まとめ

相続なんて他人事と思っていても、実際には身近によくあること。

 

誰に何を相続するのか、相続税評価額の算出、納税資金はどうするのかなどを決めるのは意外と時間と労力のかかる作業です。土地の場合は測量や境界線の確認なども必要に。

 

夏休みに限らず、家族や親戚が集まる機会に、ぜひ実家の将来についてしっかり話し合っておきましょう。