物件の検討段階でハザードマップの確認を
2022年06月20日
近年、全国各地で大雨による甚大な被害が多発。特に梅雨や台風シーズンは、河川の氾濫や土砂崩れなどにより、多くの命や財産が失われています。
皆さんは自分が住んでいる地域の災害リスクを認識していますか?
自分や家族の大切な命や住まいを守るためにも「ハザードマップ」を確認し、もしもに備えておくことが重要です。
「ハザードマップ」について
ハザードマップとは、自然災害の発生地点、被害範囲や程度の予測、さらに避難場所などの情報を表示した地図のことです。
洪水や土砂災害、高潮、地震など、さまざまな種類のハザードマップがあります。
近くに川や山がなくても、他の場所に比べて土地が低いケースも。そんなエリアでは大雨で浸水被害に遭うことも考えられます。
自分の住んでいるエリア、これから住もうと思っているエリアのハザードマップを今一度確認しましょう。
「ハザードマップ」はどこで見られるの?
ハザードマップは、市区町村ごとに作成しています。また国土交通省のポータルサイトでは、市区町村ごとのハザードマップを閲覧できる『わがまちハザードマップ』のほか、洪水、土砂災害、津波による想定被害や、土地の特徴や成り立ちなどを、地図や写真に重ねて表示できる機能を備えた『重ねるハザードマップ』も閲覧可能。
調べたい地域の住所と、表示したい情報を選択するだけで、複数の情報をひとつの地図に集約して見ることができる、とても便利なツールです。非常時に強い味方になってくれますので、ぜひ一度確認してください。
不動産取引時の水害リスク説明義務化
2020年、不動産取引時に水害ハザードマップを提示し、対象物件の位置を示すことが義務付けられました。宅建士は必ず契約前に水害リスクの説明をしなければなりません。
しかし注意しなければならないことがあります。ハザードマップで浸水想定区域に入っていなくとも、災害リスクがないわけではないということ。
ハザードマップは安心マップではありません。
物件の検討段階でハザードマップを確認しよう!
水害リスクの説明が義務化されたとはいえ、重要事項説明が行われるのは契約の最終段階です。
契約をする直前で災害のリスクがある土地だと知っても遅い場合もあるでしょう。
自分が住みたい場所がある場合は、できるだけ早い段階でハザードマップを確認することをおすすめします。
リスクのある土地を選ぶ場合の対策
災害リスクがある土地であっても「どうしてもそこに住みたい」「そこに住まなければならない」などの理由もあるでしょう。そんな時はどのような対策をしておくべきなのでしょうか。
防災を考える上で大切な要素は「自助/共助/公助」と言われています。
自助
まずは『自助』。自分の身は自分で守るということです。
・避難場所を確認しておく(ハザードマップは手元に用意する)
・非常袋や防災備品を準備しておく
・日頃から家族と防災について話し合っておく
当たり前のことですが、この当たり前のことができていない人も多いです。特に災害リスクをはらんだ場所に住む場合は、これらのことをしっかり確認し準備しておきましょう。
危険を感じたら避難所に避難することが重要ですが、『避難勧告』などの報道が出されても、実際に避難所へ行くことを躊躇することもあります。躊躇っているうちに水嵩が増し、避難できなくなってしまったというケースも多いです。
避難所へ避難できなかった場合は、自宅の2階以上に避難する「垂直避難」もひとつの方法。また床上浸水してしまい外に出られない場合は、ベランダや屋根の上に避難すれば救助隊に早急に発見される可能性も高まります。
状況にもよりますが、もしもの時、どのような動きをとればいいのかを、あらかじめ家族でシミュレーションしておくことも大切です。
共助
続いて『共助』。地域やコミュニティで協力し合って助け合うことです。
近年はご近所づきあいが希薄化しており、地域コミュニティの弱体化が懸念されています。お隣に誰が住んでいるのかも知らない…そんなことも少なくない世の中ですが、昔から「向こう三軒両隣」という言葉があるように、いざという時のために、ご近所さんと多少なりともコミュニケーションをとっておくことも必要です。
公助
そして『公助』とは、役場や消防、自衛隊などといった公的機関による救助活動や支援物資の提供などのこと。
「災害が起きても、公的機関が助けてくれるだろう」と安易な気持ちの人も多いですが、発災時は公的機関も被災しています。助けてほしい人はたくさんいますが、消防や自衛隊の人出が足りません。役場のシステムが整うのは数日後です。
『公助』は最終手段。期待しすぎず、災害リスクがある土地に住まう場合は特に『自助』を強化しておきましょう。
まとめ
今回はハザードマップについて紹介しました。ハザードマップはインターネットで簡単に検索ができますので、自分が住んでいる街について今一度確認をしておきましょう。ただハザードマップで「区域外」と表示されていても被災しないわけではありません。
不動産を検討している場合は、早い段階でハザードマップを活用し、その土地のことをしっかりと理解しておくことが必要です。
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