物流の「2024年問題」4月から規制適用
2024年03月31日
物流・運送業界の「2024年問題」。
具体的には、ドライバーの時間外労働が年間960時間に制限されることで、個々の運転距離が短くなり、長距離輸送が制約される可能性があります。
これは決して他人事ではありません。
われわれの生活において、物流はなくてはならないもの。
今回は2024年問題に対し、私たちができることを考えてみたいと思います。
物流の「2024年問題」とは
2024年問題とは、物流・運送業界における労働時間の上限規制によって生じる懸念を指します。
具体的には、働き方改革法案により、ドライバーの時間外労働が年間960時間に制限。個々の運転距離が短くなり、長距離輸送が制約される可能性が生じます。
つまり、輸送能力が不足し「モノが運べなくなる」可能性があるのです。
またこの制限により、物流・運送業界では売上の減少やトラックドライバーの収入減少、担い手不足などの影響も懸念されています。
2024年4月からどう変わるのか
働き方改革関連法に伴う「時間外労働時間の上限規制」は、大企業は2019年4月、中小企業では2020年4月より施行されていますが、トラックドライバーによる自動車運転業務に関しては、2024年4月以降から適用されます。
トラックドライバーの労働時間等の改善を図るため、自動車運転者の労働時間等の基準が下記のように改正。
また年間時間外労働時間の上限が960時間(※特別条項付き36協定を締結する場合)に制限されます。
上限規制に違反した場合、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が罰則として科せられる可能性があります。
対策を行わないとどうなるのか
2024年問題により、輸送能力が不足することが考えられます。これによりトラック事業者、荷主企業、一般消費者が、さまざまな影響を受ける可能性があります。
その一部を紹介しましょう。
トラック事業者
ドライバーの拘束時間が減るため、長距離輸送ができなくなり今まで通り運べなくなる
売上や利益が減少する可能性があるが、安易に値上げをすることはできない
残業代が減るためドライバーの収入が減少し、ますます人材不足になる可能性も
荷主企業
輸送力不足により、必要なものが必要なタイミングで届かない・届けられない可能性がある
運賃が値上げとなれば、物流コストが増大する
事業者が長距離輸送を受けられなければ、輸送を断られる可能性がある
一般消費者
必要なタイミングで宅配サービスが受けられなくなる可能性がある
新鮮な食材などが手に入らなくなる可能性も
つまり物流の2024年問題は、すべての人がさまざまな影響を受ける可能性があるのです。
解決に向けなにをすればいいのか
2024年問題を解決するには、社会全体で物流に対する意識を変え、問題解決に取り組んでいく必要があるでしょう。その一部を紹介します。
トラック事業者
DX化などを行い、作業削減や業務効率化を図る
労働環境や条件を改善しドライバーの確保
リードタイムを長くし、満載輸送する
荷主企業
荷待ち時間の短縮をする
適正な運賃の支払い
パレットの活用など作業の効率化
一般消費者
宅配ボックスや置き配などを活用し、再配達の削減に協力する
まとめ買いをし、運送回数の削減に協力する
まとめ
物流の2024年問題は、トラック事業者だけではく、荷主企業、そして私たち一般消費者にとっても大きな影響があると考えられます。改善に向けた取り組みは必要不可欠です。
関係者のみならずすべての人たちが、物流の2024年問題への理解と協力をしていきましょう。