予実管理とは?基本と管理表作成のポイント
2025年04月15日
「予実管理」とは「予算実績管理」の略。予算と業績を比較・分析・改善していく、予算管理の手法です。
ビジネスにおいて、予算と実績のズレは、利益の圧迫や資金繰り悪化など、重大なリスクにつながります。特に中小企業や少人数のチームこそ、日々の数字を見える化して、早期に軌道修正する仕組みが重要。
今回はそんな予実管理の基本と管理表作成のポイントを紹介します。
予実管理とは
予実管理とは、「予算(予定)」と「実績」の数値を比較し、その差を把握・分析して「管理」する手法です。売上・経費・利益などの目標に対し、実際の結果がどの程度達成できたのかを可視化します。
たとえば、月間の売上目標が500万円だったのに対して、実績が450万円だった場合、差異は▲50万円(達成率90%)となります。このズレの要因を把握することで、次の手を早く打つことができるでしょう。
予実管理の手順【5ステップ】
ここからは具体的な予実管理の手順を紹介します。
1.目標を設定する
まずは「目標」を立てることからスタートします。全社の事業目標達成に向けて、部門ごとに具体的な数値目標を設定してください。
このとき重要なのは、前年実績や成長率などに基づき、根拠のある、かつ現実的な数字を掲げること。企業としての成長を目指しつつ、実現可能な範囲でチャレンジできるラインを見極めましょう。
2.実績を記録する
設定した目標に対して、どれだけ実績が出ているかを定期的に記録します。
売上や経費、利益などの数値を、週次・月次などで集計し、表やツールにまとめていきます。
実績の記録は、遅れなく・正確に行うことがポイントです。
3.予算と実績を比較する
次に、目標と実績の数値を比較します。
どの項目で、どれだけズレているのかを「差異」や「達成率」といった指標で可視化しましょう。Excelなどを使えば、グラフ表示によって視覚的にも把握しやすくなります。
4.ズレの要因を分析する
差異が生まれた場合は、その原因を分析します。「人・モノ・金・時間」など多面的に要因を分析してください。
売上の未達成であれば商談の失注、経費の超過であれば予期せぬ支出など、ズレの背景にはさまざまな要因が存在します。
数値の裏にある「なぜそうなったのか」を冷静に見極めることが重要です。主観ではなく、客観的なデータや事実をもとに記録しましょう。
5.改善策を立てて次に活かす
分析結果をもとに、具体的な改善策を立てます。
業務フローの見直しや予算配分の調整など、実効性のあるアクションを明確にし、次回以降の計画や運用に反映させます。
この「振り返り→改善→実行」のサイクルを回すことこそが、予実管理の本質です。
予実管理は、業務のPDCAサイクル(Plan→Do→Check→Act)の中で「Check=評価」にあたり、計画と実行のギャップを埋める大切な役割を担います。

管理表作成のポイント
予実管理を効果的に行うためには、使いやすく見やすい「管理表」の作成が欠かせません。ここでは、管理表を作成する際のポイントを3つに絞って紹介します。
1.項目はシンプルかつ目的別に整理する
管理表には、「売上」「経費」「利益」などの基本的な数値はもちろん、必要に応じて部門別・商品別などの内訳を入れることもあります。
ただし、情報を詰め込みすぎると可読性が下がってしまうため、目的に応じて項目を整理し、誰が見てもすぐに理解できる構成を意識しましょう。
2.予算・実績・差異の3つをセットで記載する
予実管理表では、「予算」「実績」「差異」の3点セットが基本です。
さらに「達成率(実績÷予算)」を併記することで、直感的に進捗が把握できるようになるでしょう。
数値の差を単に見るのではなく、達成度をパーセンテージで示すことで、目標への到達度が一目で分かるようになります。
3.定期的に更新し、関係者で共有する
管理表は作っただけで終わりではなく、定期的に更新して活用することが重要です。
週次・月次などのサイクルで数字を更新し、関係者全員で共有することで、現状認識のズレを防ぎます。
共有ツール(Googleスプレッドシートやクラウドサービスなど)を活用すれば、リアルタイムで進捗を確認でき、チーム全体の意思統一にもつながるでしょう。
予実管理のメリット
予実管理を行うことで、次のような効果が期待できます。
・問題の早期発見:赤字や予算オーバーをすぐに発見し、対処が可能に
・効果的な意思決定:現状に即した経営判断ができるように
・行動の見える化:数字がすべてを物語るため、チームの行動や成果がはっきりとわかる
・社員の意識改革:数字に対する意識が変わり、改善思考が根づく
まとめ
予実管理は、難しい仕組みではありません。Excel1枚からでも始められる、シンプルで効果的なマネジメント手法です。
重要なのは、「ズレに気づき、早く対応すること」。定期的に数字と向き合い、小さな改善を積み重ねることで、強い組織づくりにつながっていくでしょう。