ビジネスでの謝罪、「すみません」はNG?
2025年10月30日
仕事において、気を付けていてもミスはつきもの。
しかし、その後の「謝罪の言葉」ひとつで、相手に与える印象や、その後の信頼関係が大きく左右されます。
「すみません」と「すいません」のどちらを使うべきか。「申し訳ありません」と「申し訳ございません」の敬意の度合いは?
ふとした瞬間に迷ってしまう謝罪表現ですが、社会人としてのマナーとして、正しい日本語を使いこなすことは最低限の礼儀です。
今回は、ビジネスシーンで使うべき「正しい謝罪の言葉」について、その使い分けと、誠意を伝えるための表現を紹介します。
結論:「すみません」が正しく、「すいません」は口語
「すみません」の語源は、「済む(すむ)」という動詞の否定形「済みません」が変化した言葉なので、文法的に正しいのは「すみません」です。
「気持ちが晴れない」「このままでは済まないほど、反省している」という意味が込められています。
よく耳にする「すいません」は、「すみません」が会話の中で発音しやすく変化した口語(話し言葉)。メールや企画書などの文章では、必ず「すみません」を使用すべきです。
話し言葉においても、「すみません」が正しい日本語であるため、日頃から意識して使うようにしましょう。
ビジネスシーンでは「すみません」は不適切
「すみません」は正しい日本語ですが、ビジネスにおける正式な謝罪の場では避けるべき表現です。
「すみません」という言葉は、非常に便利なため、謝罪以外にも多くの意味で使われます。例えば以下のような場合です。
・依頼・呼びかけ:「すみません、お会計をお願いします」
・感謝:「手伝ってくれて、すみません(ありがとう)」
・軽い謝罪:「ちょっとぶつかって、すみません」
このように、幅広い意味を持つがゆえに、真剣な謝罪の場面で使用すると、「ごめんね」といった軽いニュアンスで受け取られてしまう可能性があります。
取引先や上司に対する正式な謝罪としては、誠意が伝わりにくいため不適切です。
また日常で使われる「ごめんなさい」は、家族や親しい友人など、非常に親しい間柄でのみ使用する表現。カジュアルすぎるため、ビジネスシーンでは使用を控えてください。
「申し訳ありません」と「申し訳ございません」
ビジネスでの正式な謝罪には、「申し訳ありません」または「申し訳ございません」を使用します。
ではどちらが正しいのでしょうか。
結論から言うと、どちらも正しいです。ただし使い分けが重要です。
申し訳ありません
「申し訳ありません」は、「申し訳ない(言い訳ができない)」を丁寧にした言葉。
社内の上司や同僚など、丁寧さを求められる一般的なビジネスシーンに適しています。
申し訳ございません
「申し訳ございません」は、「申し訳ありません」をさらに丁寧にした最上級の謝罪表現。「あります」の謙譲語「ございます」を使用しています。
取引先やお客様、自社の役員など、最大限の敬意を示すべき相手への謝罪に最適です。
なお、「申し訳ございません」は二重敬語ではありませんので、安心して使用してください。
謝罪と同時に「再発防止の意志」を伝える
「申し訳ございません」を伝えた後は、なぜミスが起きたのか、そして今後どう対応するかを具体的に添えることで、より誠意が伝わります。
例:「この度は、弊社の手配ミスによりご迷惑をおかけし、誠に申し訳ございません。今後は、〇〇という形でダブルチェック体制を徹底し、再発防止に努めます。」
誠意を伝えるための応用表現と注意点
丁寧な言葉を選んだとしても、同じ言葉を繰り返すだけでは、かえって単調で事務的な印象を与えてしまいかねません。
「申し訳ございません」だけでなく、相手や状況に応じて次のような表現を組み合わせることで、より深い反省と誠意を示すことができます。
・お詫び申し上げます
・失礼いたしました
・陳謝いたします
・お詫びの言葉もございません
最も丁寧な「申し訳ございません」も、多用すると「くどい」と感じられることがあります。
「申し訳ございません」「申し訳ございません」と繰り返すのではなく、上記の応用表現や、具体的な再発防止策を伝える言葉を織り交ぜながら、真摯に謝罪の気持ちを伝えましょう。
まとめ
「すみません」は、正しい日本語ですが、ビジネスでの正式な謝罪には不適切です。
正式な謝罪は「申し訳ありません」または「申し訳ございません」を使用しましょう。
取引先などには、より丁寧な「申し訳ございません」を選ぶのがベター。最上級の表現と、再発防止の具体策をセットで伝えることで、誠意と反省の気持ちを深く伝えることができるでしょう。
正しい敬語とマナーは、ビジネスにおける信頼関係の土台です。日頃から適切な表現を心がけ、プロフェッショナルとしての対応力を身につけていきましょう。
