産休・育休の基本!制度やお金の話を解説
2026年08月15日
妊娠や出産の報告を受けた時、あるいはご自身が妊娠された時、「産休や育休って具体的にどんな制度なんだろう?」「いつからいつまで休めるの?」「休んでいる間のお給料はどうなるの?」と、次々に疑問が湧いてくることでしょう。
周りの先輩ママ・パパが当然のように制度を利用していても、「今更こんな基本的なこと、ちょっと聞きづらいな……」と感じている方も多いかもしれません。
日本の育児休業制度は共働き世帯の増加や男性の育児参加を後押しするために年々進化しています。
特に2025年(令和7年)4月には「育児・介護休業法」や「雇用保険法」が大きく改正され、男性がさらに育休を取りやすくなる仕組みや、もらえる給付金が実質手取り10割相当になる新しい支援制度がスタートしました。
今回は、プレママ・プレパパはもちろん、部下を持つ管理職の方にとっても役立つ産休・育休の基本から、もらえるお金の話まで解説します。
そもそも「産休」「育休」って何?基本をおさらい
まずは、混同されがちな「産休」と「育休」の違いから整理していきましょう。
産前産後休業(産休)とは?
産休は、正式には「産前産後休業」といい、母体を保護するための制度です。出産をする女性のみが対象となり、正社員だけでなく、パートやアルバイト、派遣社員など雇用形態に関わらず誰でも取得することができます。
産休は大きく分けて「産前」と「産後」の2つに分かれます。
産前休業
出産予定日の6週間前(双子など多胎妊娠の場合は14週間前)から、女性本人が希望して請求した場合に取得できます。体調が良ければ出産ギリギリまで働くことも可能ですが、多くの人がこのタイミングからお休みに入ります。
産後休業
出産の翌日から8週間は、法律によって原則として就業することが禁止されています(強制的な休業)。ただし、産後6週間を経過した後に女性本人が早期復帰を希望し、医師が「働いても問題ない」と認めた場合に限り、前倒しで仕事に復帰することができます。
育児休業(育休)とは?
育休は、正式には「育児休業」といい、子どもを養育するための制度です。こちらは女性だけでなく、男性(パパ)も取得することができます。
期間
原則として、子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで取得できます。もし「保育園に入所できない」などのやむを得ない事情がある場合は、1歳6ヶ月まで、さらには最長2歳まで延長することが可能です。
分割取得
以前は「1回まとめて取る」のが基本でしたが、現在では夫婦ともにそれぞれ2回まで分割して取得できるようになっています。これにより、「妻の職場復帰のタイミングに合わせて夫が2回目の育休を取る」といったバトンタッチのような休み方も可能になりました。
「産後パパ育休」とは?
男性の育児参加を強力にサポートするために2022年10月に創設されたのが、「産後パパ育休(出生時育児休業)」。通常の育休とは別に取得できる、パパ専用の特別な制度です。
出産直後の大変な時期をサポート
産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に、最大4週間(28日)まで取得できる休業制度です。産後の女性の体は大きなダメージを受けており、心身ともに不安定になりやすい時期です。この一番大変な時期に、パパがまとまって休みを取り、家事や育児のメイン担当になることで、ママの回復をしっかりとサポートすることができます。
2025年4月の改正でさらに使いやすく
産後パパ育休も、通常の育休と同じく2回に分割して取得することができます。たとえば、「出産時の退院直後に2週間休み、一度仕事に復帰してから、妻の体調が辛そうな時期にまた2週間休む」といった柔軟な対応が可能です。
さらに、2025年4月の法改正により、2回目の分割取得の申請期限が緩和されました。これまでは「2週間前」までに申請する必要がありましたが、法改正によって「1週間前まで」の申請でOKになりました。出産予定日は前後することが多く、「思ったより早く生まれた」「急にサポートが必要になった」という場合でも、より直前でのスケジュール変更がしやすくなっています(※初回の申し出時にまとめて2回分を申請する必要があります)。
また、どうしても外せない会議や業務がある場合、労使協定を結んでいる企業であれば、休業期間中に一定の範囲内(所定労働日や労働時間の半分まで等)で就業することも認められています。
休んでいる間のお金はどうなる?給付金と社会保険料の免除
産休・育休を取得する上で一番不安なのが、「休んでいる間の収入がどうなるか」というお金の問題ではないでしょうか。実は、日本の育児支援制度は非常に手厚く、休業中も一定の収入が保障される仕組みが整っています。
産休中にもらえる「出産手当金」
産休中(産前42日~産後56日)は会社から給与が出ないことがほとんどですが、代わりに加入している健康保険から「出産手当金」が支給されます。金額は、おおよそ休業前の給与の3分の2(約67%)となります。
育休中にもらえる「育児休業給付金」
育休に入ると、今度は雇用保険から「育児休業給付金」が支給されます。
・育休開始から180日間(約半年):休業前の給与の67%
・育休開始から181日目以降:休業前の給与の50%
「給料が67%に減ってしまうと生活が厳しい……」と思うかもしれませんが、ご安心ください。産休・育休中は、給与から天引きされていた健康保険料や厚生年金保険料といった「社会保険料」が全額免除(会社負担分も本人負担分も免除)されます。さらに、給付金は非課税なので所得税や翌年の住民税もかかりません。これらを考慮して「手取り額」で計算すると、休業前の67%の給付であっても、実質的には休業前の手取りの約8割(約80%)が確保される計算になります。
実質手取り10割に!「出生後休業支援給付金」の創設
2025年4月から、お金の面でさらなる超特大ニュースとなる制度が始まりました。それが「出生後休業支援給付金」の創設です。
これは、両親がともに14日以上の育児休業を取得するなどの一定の要件を満たした場合、最大28日間、従来の育児休業給付金(67%)に加えて13%の給付金が上乗せされるという制度。
67%+13%=80%となりますが、前述の通り社会保険料などが免除されるため、手取りに換算すると実質10割相当(つまり休業前のお給料とほぼ同じ手取り額)が支給されることになります。
「休むと収入が減ってしまうから……」と育休取得をためらっていたパパも、この制度を活用すれば経済的な心配をすることなく、しっかりと育児に専念することができます。
2025年以降、「働きながら子育て」がもっとしやすくなる
育休が明けて仕事に復帰した後も、子育てと仕事の両立は長く続いていきます。2025年の育児・介護休業法改正では、休業制度だけでなく「復帰後の働き方」に関する支援も大きく拡充されました。
残業免除の対象が拡大
これまでは「3歳未満」の子どもを育てる人が対象だった「所定外労働の制限(残業免除)」が、2025年4月からは「小学校就学前」の子どもを育てる人にまで対象が拡大されました。
テレワークの努力義務化
3歳未満の子どもを育てる従業員に対して、テレワークを選択できるようにすることが企業の努力義務となりました。
子の看護休暇の見直し
子どもが病気になった時などに休める「子の看護休暇」の対象年齢が、「小学校就学前」から「小学校3年生修了まで」に延長されました。さらに、「感染症に伴う学級閉鎖」や「入園式・卒園式」などの行事への参加でも取得可能になりました。
国を挙げて、多様で柔軟な働き方を支援する動きが加速しています。
まとめ
「産休・育休」と一言で言っても、ママを守るための産休、男女ともに子育てをするための育休、そしてパパ専用の産後パパ育休など、目的や期間が細かく分かれています。
しかし共通して言えるのは、「産休・育休は働く人にとって正当な権利であり、国も全力でサポート体制を整えている」ということです。2025年の法改正により、男性の育休の柔軟な取得、実質手取り10割となる給付金、復帰後の働き方の選択肢など、制度はかつてないほど充実しています。
制度の詳細や申請手続きは、会社の就業規則や人事部の規定によって少しずつ異なる部分もあります。妊娠がわかったら、早めに会社の担当部署や上司に報告・相談をし、自分たちの家庭に一番合った休業プランを立ててみてください。
