給与規程(賃金規程)とは?ルール等を解説
2025年10月15日
企業にとって、従業員に支払う「給与」は、最も重要な要素のひとつです。
その支給方法や基準を明確に定めたものが「給与規程(賃金規程)」です。
今回は、給与規程の概要から作成時のポイント、法的注意点までわかりやすく解説します。
給与規程(賃金規程)とは
給与規程とは、従業員に対して支払う賃金の種類・計算方法・支払い時期などを定めた社内ルールのこと。
一般的には「就業規則」の一部または別規程として作成されます。
目的は、賃金に関する取り扱いを明確化し、トラブルを防止すること。
曖昧なままでは、昇給・賞与・手当などをめぐって不公平感や労使トラブルが生じかねません。
給与規程に定める主な内容
給与規程に盛り込むべき項目は、労働基準法などで一定のルールが設けられています。代表的な内容は以下のとおりです。
作成時のルールと注意点
給与規程を作成する際は、以下のルールを押さえておくことが重要です。
1. 労働基準法に沿った内容にする
賃金の支払いは、通貨払い・直接払い・全額払い・毎月1回以上・一定期日払いという「5原則」が定められています(労基法第24条)。
また、最低賃金法や残業割増率など、関係法令との整合性も必須です。
2. 全従業員に周知する
就業規則と同様、給与規程も作成後は従業員に周知しなければ効力が発生しません。
社内ポータルへの掲載や配布など、誰でも確認できる状態にしておきましょう。
3. 労働基準監督署への届出
常時10人以上の従業員を雇う企業は、就業規則(および賃金規程)を労基署に届け出る義務があります。
変更時も同様に届出が必要です。
4. 定期的な見直し
最低賃金の引き上げや制度改正、評価制度の変更などに応じて、定期的に内容を見直すことが大切です。
古い規程のまま運用を続けると、法令違反や不公平感につながる恐れがあります。
給与規程を整備するメリット
給与規程を整えることで、企業・従業員双方にメリットがあります。
●人事評価と賃金の透明化:基準を明確にすることで納得感のある給与体系に。
●法令遵守:労働基準法・最低賃金法などに適合し、リスクを軽減。
●トラブル防止:不公平・誤解を防ぎ、労使関係の安定につながる。
●採用・定着への効果:明確な賃金制度は応募者にも安心感を与えます。
まとめ
給与規程は、単なる「給与ルール」ではなく、企業の信頼性と公平性を支える基盤。作成時には法令遵守を徹底し、社内実態に合わせた運用を行うことが重要です。
定期的な見直しと改善を重ねながら、従業員が安心して働ける環境づくりに挑戦していきましょう。
