インボイス:旅費精算の処理ルール再確認

2026年05月30日

2023年10月に開始されたインボイス制度(適格請求書等保存方式)。

 

制度開始からしばらく経ち、実務も定着しつつありますが、日々の経費精算のなかでも特に発生頻度の高い「旅費交通費」の処理において、未だに判断に迷うケースは少なくありません。

 

今回は、インボイス制度下において間違いやすい旅費精算のルールについて、重要なポイントを解説します。

旅費交通費

旅費精算における2つのポイント

インボイス制度における旅費交通費の精算は、大きく分けて「従業員の立替精算」と「旅費規程による出張旅費」の2つのパターンで取り扱いが異なります。

1. 従業員による「立替精算」の場合

従業員が交通費や経費を立て替えた場合、会社が仕入税額控除を受けるためには、原則として「会社宛ての適格請求書(インボイス)」が必要です。

 

・領収書の宛名が「従業員個人」になっている場合

 

宛名が会社名ではなく従業員個人の名前になっている適格請求書では、会社は仕入税額控除を受けることができません。この場合は、従業員に「立替金精算書」を作成してもらい、領収書とセットで保存することで要件を満たすことができます。

 

 

・3万円未満の「公共交通機関特例」に注意

 

3万円未満の公共交通機関(鉄道・バス・船舶)による旅客の運送については、インボイスの発行義務が免除されています。そのため、従業員が立替精算した場合でも、帳簿に「公共交通機関特例」と記載することで、インボイスなしで仕入税額控除が可能です。

 

ただし、同じ交通費であってもタクシー代、航空券、高速道路料金、駐車場代などは特例の対象外です。これらは金額が3万円未満であってもインボイスの保存が必要となるため、社内での周知徹底が必要です。

2. 旅費規程に基づく「出張旅費」の場合

会社で「出張旅費規程」を定めており、その規程に基づいて支給される交通費、宿泊費、出張手当(日当)などについては、「出張旅費等特例」の対象となります。

 

この特例が適用される場合、その旅行に通常必要と認められる金額の範囲内であれば、帳簿に「出張旅費等特例」と記載するだけで仕入税額控除が認められ、インボイスの保存は不要です。

新幹線

帳簿保存のみで仕入税額控除が認められる主なケース

原則としてインボイスの保存が必要な現行制度ですが、旅費交通費の特例以外にも、以下のような特定の取引については「帳簿の保存のみ」で仕入税額控除が認められています(一部抜粋)。

  • 3万円未満の公共交通機関(鉄道・バス・船舶)による旅客の運送

  • 使用の際に入場券等が回収される取引(新幹線の切符など)

  • 3万円未満の自動販売機・自動サービス機からの商品購入等

  • 従業員等に支給する通常必要と認められる出張旅費等(通勤手当含む)

まとめ

インボイス制度下での経費精算は、「特例の対象になるもの」と「ならないもの」の正確な区別が求められます。


特に、電車代と同じ感覚で処理してしまいがちなタクシー代や航空券などは、公共交通機関特例の対象外となるため注意が必要です。

 

不備のある領収書では会社が消費税の負担を被ることになりますので、今一度、社内での経費精算ルールや立替金精算書のフォーマットを見直し、従業員へのマニュアル周知を図ってみてはいかがでしょうか。