電子契約は印紙税が不要。理由などを解説
2025年06月30日
契約書や手形、領収書など、紙の書類の中には「課税文書」として『印紙税』がかかるものがあります。
しかし、電子契約では不要。電子契約で取り交わした契約書には、原則として印紙税がかからないのです。
これは、単なる“便利な仕組み”というだけでなく、法律上もしっかりとした根拠があります。
今回は、電子契約に印紙税が不要な理由を、印紙税法や国税庁の見解をもとに解説します。
印紙税とは
印紙税とは、契約書や手形、領収書などの「課税文書」に課される税金です。
印紙税の金額は文書の種類や記載金額によって異なります。
「収入印紙」を購入して文書に貼付し「消印」を押すことで、印紙税を納付したことに。
この印紙税がかかるのは、紙の文書が「物理的に作成・交付された」場合に限られます。
つまり税務署に提出するわけではなくても、事業者同士で取り交わす契約書などは課税対象となるのです。
電子契約には印紙税がかからない理由
電子契約で作成された契約書には印紙税は課されません。
これは、印紙税法において「課税文書」は「紙で作成され、相手に交付された文書」と定義されているから。
PDFファイルやクラウド上でやり取りされる契約書は、物理的な「紙の文書」ではないため、印紙税の課税対象には該当しません。電子データとして締結される契約は、税法上「文書」とは見なされないのです。
法的根拠と国税庁の見解
この取り扱いについては、印紙税法基本通達第44条に明記されています。
そこでは、「電磁的記録によって作成され、交付される契約は、課税文書には該当しない」とあり、さらに、国税庁や経済産業省も公式に「電子契約には印紙税は不要」との見解を示しています。
電子契約を導入する企業の間では、毎年数万~数十万円単位の印紙税コストを削減できるという事例も。

電子契約導入のメリット
電子契約の魅力は、印紙税が不要になる点だけではありません。
紙代・郵送費・印紙代などをすべてカット可能なので、大幅なコストカットが可能。
またクラウド管理で紛失リスクもなく、保管と検索が楽になります。
さらに押印のための出社が不要なので、テレワークにも最適。業務の効率化がはかれるでしょう。
ペーパーレス化や業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める上でも、電子契約は非常に効果的です。
注意点と導入時のポイント
ただし、電子契約を導入する際にはいくつか注意点もあります。
まず、契約の相手方が電子契約に同意する必要があります。どちらか一方が紙での締結を希望する場合は、電子契約は成立しません。
また、法的に有効な契約とするためには、「当事者間の合意」だけでなく、「改ざん防止措置」も不可欠です。信頼性のある電子契約サービス(例:タイムスタンプ機能付き、電子署名認証付きなど)を選ぶことが重要です。
まとめ
電子契約を活用すれば、印紙税を削減することができます。国の制度上も明確に非課税とされており、安心して導入できる仕組みです。
電子契約サービスの普及が進み、導入のハードルも下がってきた今こそ、紙の契約書からの脱却を図るチャンス。コスト削減と業務効率化の両立を目指し、電子契約への切り替えを検討してみてはいかがでしょうか。