派遣先管理台帳とは?記載事項などを解説
2025年05月30日
派遣社員を受け入れる際に、作成が義務付けられている「派遣先管理台帳」。
派遣先管理台帳とは、派遣先企業の情報や派遣労働者の雇用条件、勤務時間、給与等の情報が記録されている台帳のことです。
しかし「何を書けばいいの?」「どこまで詳細に記録するべき?」と悩む担当者も多いのではないでしょうか。
今回は、派遣先管理台帳の基本から、記載内容・更新方法・注意点まで解説します。
誰がどのタイミングで作成するのか
派遣先管理台帳は、派遣先企業が派遣労働者の受け入れ時に作成することが義務付けられています。
作成するのは、派遣社員を受け入れる「派遣先企業」、作成のタイミングは「派遣労働者の受け入れ時(就業開始前または就業開始時)」です。
派遣契約が締結された後、実際に派遣社員を受け入れる前までに準備しておくことが望ましいでしょう。
「派遣”元”管理台帳」とは異なる
「派遣先管理台帳」と対をなす存在として、派遣元企業が作成する「派遣元管理台帳」があります。
どちらも労働者派遣法に基づくもので、労働局や労基署に提出および保管をします。

派遣先管理台帳に記載が求められる項目
派遣先管理台帳には、主に以下の情報を記載します。
・派遣労働者の氏名
・派遣元事業主の事業所名
・派遣元事業主の所在地
・業務の種類、内容
・派遣労働者の責任程度
・協定対象派遣労働者かおよび60歳以上であるか否か
・無期雇用か有期雇用か
・派遣就業した事業所の名称、就業場所
・派遣就業した事業所の所在地
・派遣元責任者
・派遣先責任者
・就業状況
・派遣労働者からの苦情処理状況
・教育訓練の日時・内容
・紹介予定派遣に関する事項
決められた書式はないので、自社でフォーマットを作成しても構いませんが、記載する項目が多いため、漏れがないよう注意しましょう。
派遣先管理台帳の保管期間
派遣先管理台帳は、派遣期間終了日から起算して3年間です。
なお保存方法は、電子データでも紙でもどちらでも構いません。
なぜ派遣先も台帳が必要なのか?
この台帳の目的は、派遣労働者の適正な就労状況を管理し、トラブルや法令違反を防ぐことにあります。
例えば「抵触日」の管理や、派遣社員に正社員との均等待遇を実現するための情報確認などにも役立ちます。また労働基準監督署などの行政調査が入った際に、提出を求められることも。
派遣労働では、「使用者=派遣先」「雇用主=派遣元」という二重構造があるため、双方に管理義務が発生します。
派遣先は、職場環境の整備や業務指示を行う立場であり、就業実態の把握と記録は法令上の義務です。
作成しなかった場合のリスク
派遣先管理台帳の作成・保存を怠った場合、労働者派遣法違反となり、以下のようなリスクがあります。
・行政指導や是正勧告
・派遣契約の停止命令や罰則
・トラブル発生時の証拠不足(就業期間の確認など)
台帳は単なる事務書類ではなく、「派遣労働を適正に運用しているか」を示す証明資料です。派遣社員を受け入れる企業の責任として、必ず作成・保存をしましょう。
まとめ
「派遣先管理台帳」は、派遣先企業が派遣社員を適正に受け入れ・管理するための重要な記録台帳です。
似た名称の「派遣元管理台帳」と混同されがちですが、目的も作成者も異なります。
派遣社員の受け入れが始まったら、まずは台帳の整備から。法令に沿った適切な運用が、安心でトラブルのない労務管理につながります。