電子帳簿保存法、ありがちな5つの落とし穴

2026年07月30日

電子帳簿保存法(電帳法)への対応が始まってから時間が経ち、「デジタル保存にもようやく慣れてきた」「スマホでレシートを撮影するだけだから簡単!」と感じている方も多いのではないでしょうか。

 

しかし、運用が定着してきた今だからこそ、「実は保存要件を満たしていなかった」というケースも見られます。

 

特に注意したいのが、紙のレシートや領収書をデータ化して保存する「スキャナ保存」です。

 

今回は、スキャナ保存やタイムスタンプ、データ管理について、多くの人が勘違いしやすい5つのポイントを解説します。

電子帳簿保存法

落とし穴1:「年末や確定申告前にまとめてスキャンすればOK」の罠

 日々の処理を後回しにすると、せっかくデータ化しても正式な保存書類として認められない可能性があります。

× 勘違い

「紙のレシートは、決算や確定申告の時期にまとめて1年分スキャンすれば問題ない」

〇 正解

スキャナ保存には、一定の入力期限があります。

 

紙の領収書やレシートをスキャンして電子データとして保存する場合、原則として「速やかに」入力する必要があります。

 

また、社内で通常の業務処理サイクルを定めている場合は、最長2か月以内に入力し、さらにおおむね7営業日以内に処理する方法も認められています。

 

つまり、「1年分をまとめて年末にスキャン」という運用では、スキャナ保存の要件を満たせない可能性があります。

 

期限を過ぎて入力した場合、そのデータだけでは紙の原本に代えることができません。そのため、紙のレシートを保存しておく必要があります。

 

「あとでまとめて処理しよう」と後回しにせず、日々の処理ルールを決めておくことが大切です。

落とし穴2:「タイムスタンプを必ず契約しないといけない」の罠

 昔のルールのイメージのまま、高額なサービスを契約し続けているケースも少なくありません。

× 勘違い

「電子保存するなら、すべてのデータにタイムスタンプを付けなければならない」

〇 正解

一定の要件を満たすシステムを利用している場合、タイムスタンプが不要になるケースがあります。

 

以前は、電子データの改ざん防止のため、タイムスタンプの付与が重要な要件でした。

 

しかし現在では、訂正・削除の履歴が確認できる、または訂正・削除ができない仕組みを備えた電帳法対応システムを利用することで、タイムスタンプに代えることが認められています。

 

ただし、すべてのクラウドサービスが対象になるわけではありません。

 

利用している会計ソフトや経費精算システムが、電帳法の要件を満たしているか確認しておきましょう。

落とし穴3:「紙のレシートは全部データ化しなければいけない」の罠

 「電帳法=すべてペーパーレス化」と思い込まず、自社に合った保存方法を選ぶことが大切です。

× 勘違い

「電帳法が始まったから、紙でもらった領収書もすべてスキャン保存しなければならない」

〇 正解

紙の領収書やレシートのスキャナ保存は任意です。

 

電帳法で電子保存が義務となっているのは、メールで受け取った請求書や、インターネット上からダウンロードした領収書などの「電子取引データ」です。

 

一方で、店舗などから紙で受け取った領収書やレシートについては、

 

・紙のまま保存する
・スキャンして電子保存する

 

どちらの方法も選択できます。

 

「すべてデジタル化しなければならない」と思い込んでいる方も多いですが、業務負担やコストを考慮し、紙保存を継続するという選択肢もあります。

電帳法

落とし穴4:「スマホで撮影したら、すぐ紙を捨てていい」の罠

 撮影したつもりでも、保存された画像に不備があれば原本を処分できない場合があります。

× 勘違い

「スマホで撮影したから、このレシートはもう処分して大丈夫」

〇 正解

保存した画像が、内容を確認できる状態になっているか確認してから処分しましょう。

 

スキャナ保存では、保存された画像から取引内容が明確に確認できることが重要です。

 

最近のスマートフォンは高性能ですが、以下のようなケースには注意が必要です。

 

・手ブレして文字が読めない
・影が入り金額や日付が確認できない
・レシートの端が切れている
・文字がぼやけている

 

不鮮明な画像しか残っていない状態で紙を廃棄すると、経費を証明する書類を失うことになり、税務調査などで問題になる可能性があります。

 

撮影後は、画像を確認し、必要な情報が読み取れる状態で保存されていることを確認してから処分するようにしましょう。

落とし穴5:「クラウドフォルダに画像を保存すれば完了」の罠

 「保存した」だけでは不十分。後から必要な情報を探せる管理状態にしておくことが重要です。

× 勘違い

「GoogleドライブやDropboxなどにレシート画像を保存しておけば、電帳法対応は完了」

〇 正解

保存するだけではなく、検索できる状態にしておく必要があります。

 

電帳法では、保存した電子データについて、税務調査などの際に必要な情報を確認できるよう、一定の検索要件を満たす必要があります。

 

例えば、取引年月日・取引金額・取引先などの情報で検索できる状態にしておくことが求められます。

 

単純に「IMG_1234.jpg」のようなスマートフォンのファイル名のまま画像を保存するだけでは、検索要件を満たせない場合があります。

 

自社で管理する場合は、

 

・ファイル名を「20260731_〇〇株式会社_5000円.jpg」のように変更する
・Excelなどで画像と取引情報を紐づけた管理表を作成する
・電帳法対応の会計ソフトや経費精算システムを利用する

 

などの方法があります。

まとめ

電帳法対応は、「システムを導入した」「スマホで撮影した」だけで完了するものではありません。

 

大切なのは、

 

・期限内に処理できているか
・画像が鮮明に確認できる状態か
・必要な情報で検索できる状態か

 

という日々の運用です。

 

一度ルールを作ってしまえば、継続的な管理は難しくありません。

 

「うちは大丈夫」と思っている方も、慣れてきた今こそ、この機会にレシートや領収書の保存方法を一度確認してみてはいかがでしょうか。